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2月28日のまにら新聞から

国民投票は2025年 外資規制の撤廃が目標 両院合同決議案の審議

[ 1241字|2024.2.28|政治 (politics) ]

両院合同決議案の審議開始で上院議長「憲法改正のための国民投票は2025年と大統領が指示」

 憲法改正を求める両院合同決議案の審議が今週から始まった。これに合わせ上院のズビリ議長は、改憲の是非を問う国民投票について「2025年の中間選挙に合わせて実施するのが最善」との指示がマルコス大統領からあったことを明らかにした。仮に国民投票を中間選挙と別に行えば120億~140億ペソの費用が別途かかるためとした。これにより、改憲に関する合同決議の採択は聖週間後(3月23日~4月28日)以降となり、5月25日の散会前の採択となる見通しだ。

 今年の中間選挙はバンサモロイスラム自治地域(BARMM)の自治政府発足のための選挙も予定されており、予定通り国民投票が行われれば二つの歴史的イベントが同時に催されることになる。

 中央選挙管理委員会のジョージ・ガルシア委員長は「中間選挙と国民投票を現行の投票システムで同時に実施することは可能」とし、既にサンプル用の投票用紙も作成していると発表している。

 ▽インフラ部門でさらなる外資導入を

 国家経済開発庁(NEDA)のバリサカン長官は議会で「公共サービス、教育、マスメディア、広告の分野に残る外資規制を撤廃し、活用されていない経済発展の機会を広げよというのが大統領からの命令だ」と強調。「さらなる外資規制緩和により、エネルギー部門、上水道部門、その他のインフラ部門の資金不足が改善され、より安価で質の高い公共サービスを国民に提供できる」とし、インフラ分野における外資のさらなる導入に期待を寄せた。

 また「現在の改憲の動きは全ての経済問題を解決するものではないが、比の経済の潜在力を開放するための補完的な手段になる」とし、①エネルギー費用の高さ②不十分な通信インフラ③お役所仕事による行政効率の悪さ④中央政府と地方政府の規則の不一致⑤児童の学習貧困と栄養不足ーーという国家的課題に対処できたときに「経済開発の便益を収穫できる」との考えを示した。

 公共サービス部門への外資規制は、2022年に発効した改正公共サービス法により鉄道、通信、空港などへの規制が撤廃されている。一方、送配電、石油パイプライン、上下水道、港湾、路上公共交通については、まだ憲法12条11項の「公営事業」に当たるとし、外資比率を40%未満に制限されている状況が続いている。

 ▽ドゥテルテ氏が態度軟化?

 今年から動きが表面化していた国民請願による改憲発議の署名運動について「大統領の任期延長により新たな独裁制を生む」などとして反対してたドゥテルテ前大統領は、25日の反対集会に姿を見せ、「現職大統領や政治家の任期が延長されないのなら、改憲自体には賛成する」との立場を示した。

 ミンダナオ共和国独立案まで打ち出して強い反対の立場を打ち出していた大統領だが、立場を軟化させた格好だ。

 前大統領の報道官を務めたハリー・ロケ弁護士は、「国民請願の署名活動は引き続き警戒する必要がある」とし、反対運動を継続する意思を表明した。(竹下友章)

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