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2月17日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 613字|2014.2.17|社会 (society)|ハロハロ ]

 がん治療を紹介した「がんもどきで早死にする人、本物のがんで長生きする人」という告発本を読んだ。臓器の切除手術や抗がん剤治療を受けると、9割以上の人が確実に命を縮めると警告する。がん経験者にとっては、心穏やかではない。著者は慶応大学医学部の放射線科講師。これまで何冊ものシリーズ本を出版し、2年前に出版された「医者に殺されない47の心得」は昨年の販売部数調査でミリオンセラーになった。

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 症状がなく検診で見つかる乳がんは99%、前立腺がんは90%が転移能力のない「がんもどき」と断定し、受診者を惑わす検診の忌避を勧める。治療をしない「がん放置療法」を唱え、臓器切除と抗がん剤投与で早死にした芸能人らの治療例を紹介。痛みなどの症状がない限り、がんは放置しておくのが最大の対処法という。ただ、放置したままがんと共生していくには患者にとっても、よほどの覚悟が必要になる。

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 20年近く前に下咽頭がんの放射線治療を受け、最近も新たに食道がんの切除手術を受けた。内視鏡による手術は思ったより短時間で終わり、4日目に早々と退院した。話題になっている放置療法も考えないわけではなかったが、主治医から早期切除を勧められると、拒否する勇気はなかった。ここは長年経過観察している主治医を信頼するしかない。がん治療の選択肢が限られていることをあらためて痛感した。(富)

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