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4月22日のまにら新聞から

終わらない戦争

[ 716字|2013.4.22|社会 (society)|新聞論調 ]

ボストン爆弾テロ

 ボストン爆弾テロ事件で学ぶべき教訓があるとすれば、テロ対策には終わりがないということだ。どちらかと言えば、戦争には終結はない、という事実を認識すべきかもしれない。

 フィリピンもテロとは無関係ではない。イスラム過激派、アブサヤフは身代金目的の誘拐事件を繰り返すだけでなく、公共の場に爆発物を仕掛ける。 

 ボストンのテロ事件では3人が死亡し、200人近くが負傷した。負傷者の中には、手足を切断された状態で今後生きていかなくてはいけない人もいる。 ここフィリピンで起きた最悪のテロ事件は、2000年末に軽量高架鉄道(LRT)を中心に起きた首都圏連続爆破テロだ。犠牲者の1人は少女だった。彼女の人生はテロで終わり、残された遺族の心は打ち砕かれた。

 米政府が避けなければいけないことが一つある。それは「9・11」以降、イスラム教徒およびアラブ人に対して高まった反発だ。「9・11」に関与した容疑者と疑われ、インド人が殺害されるという痛ましい事件も起きた。 

 今回のボストンのテロ事件で起こり得る最悪の事態は、保守系メディアと銃器に目のない米市民が犯人は外国人だったとあおり立て、行き過ぎた反応を示すことだろう。すでに、ネット上ではサウジアラビア人が拘束されたとの流言が広まっている。

 ボストンマラソン自体は、わが国とはあまり関係ないが、実際、フィリピン系米国人が現場付近に住み、参加者もいただろう。アキノ大統領ですら、戒厳令下に父親とともに亡命した過去があることから、ボストンを「第二の故郷」と呼んでいる。

 米捜査当局による早期の犯人逮捕を望む。そして、わが国内で同様のテロ事件が起きないことも。(18日・タイムズ)

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