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11月3日のまにら新聞から

新聞論調

[ 705字|2008.11.3|社会 (society)|新聞論調 ]

政権交代求む声

 カトリック司教協議会(CBCP)のラグダメオ議長ら聖職者五人が記者会見で、アロヨ大統領退陣と政権交代を明確に呼び掛けた。政権交代の実行策には言及せず、国民に判断を委ねた。

 ゴンザレス司法長官は呼び掛けを扇動行為と主張する。訴追に踏み切るかは、司法長官次第であるが、扇動行為が必ずしも不道徳とは限らない。国民が「不道徳」な呼び掛けに応じるとすれば、政権交代の合法的手段を喪失したと理解すべきだろう。

 国民はアキノ政変型民衆ほう起による政権交代を望んでいない。エドサ2がアロヨ政権樹立を導いた上、新体制構築において、「近道」は禁物との認識に達したのだ。二〇一〇年には大統領選挙が迫っており、政情は混乱期を迎えるかもしれない。しかし、国民は非合法的な措置を取らずに不適格者を排除できる。

 皮肉なことだが、汚職疑惑が浮上するたびに、CBCPは「疑わしきは罰せず」との立場で、政権延命を支えた。前大統領選での不正工作や農務省予算流用疑惑、政府ブロードバンド網構築事業の不正受発注疑惑でも、CBCPは大統領退陣を拒絶した。CBCPは司教約百二十人で構成されるが、五人の聖職者以外、他の司祭たちは沈黙を貫いた。現政権はこの沈黙を見越してか、呼び掛けを個人的見解と見なした。

 ラグダメオ議長は比宗教指導者協会の書簡に基づいて、行動に出た。「国民は希望を喪失し、無力を感じている。国民は社会変革の原動力となるあなたの言葉を欲している」

 盗賊たちは権力をいかにして掌握したかを忘れた上、高潔の元に集結した民衆を阻止できないとの過去の教訓も覚えていない。現政権が警戒すべきはそこにある。(10月30日・マラヤ)

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