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11月26日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 578字|2007.11.26|社会 (society)|ハロハロ ]

 街路樹のバナバの葉が日増しに赤く色づいている。首都圏の南郊、マキリン山ふもとにある住宅地。バイ湖(ラグナ湖)越しに吹く北東季節風をまともに受けているせいか、標高が三百メートル近いからか——。落葉樹が紅葉する理由はまだ定かではないそうだが、紅、朱と黄色が微妙に混じるバナバの葉は華やかそうでいて、どこか寂しげな秋の色。風に揺れて散り残る柿の葉を連想、思いは日本の晩秋へ広がる。

 拙宅の庭で背丈が一メートルもある多年草が、光沢のある小さい深紅の実を枝いっぱいにつけている。二年前に買い求めたときから名前が分からず、「小ナンテン」と命名していたが、素性が知りたくて、「太陽の花たち」の著者で植物研究家の関緑さんに写真を添えて伺った。数日後、件名の欄に「ジュズサンゴ」と記された電子メールが届いた。和名は数珠状になった珊瑚玉の意で、原産地は北米南部から南米という。

♢ 

 ジュズサンゴの実は、晩秋の庭を彩り、正月には床の間に飾られるナンテンやセンリョウの実とそっくりだ。季語を付けるとすれば間違いなく「秋」か「冬」だが、白い花は年中咲いていて、実をつける。一千近い草木を紹介している「フィリピン観賞植物図鑑」のどこにも「開花期」に触れた記述は見当たらない。熱帯の植物は季節を問わず多種多様だ。(濱)

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