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11月26日のまにら新聞から

真相はやぶの中

[ 709字|2007.11.26|社会 (society)|新聞論調 ]

元国軍兵士の大統領特赦

 アロヨ大統領による特赦ムードはまだ続いているようだ。アキノ元上院議員らを暗殺したとして殺人罪で終身刑に服していたパブロ・マルティネス元国軍兵士が釈放された。元上院議員の遺族は真実を追究したい思いを抱いて、複雑な気持ちを吐露した。生きていれば元上院議員が七十五回目を迎える誕生日の約一週間前、マルティネス氏は自由の身となった。他の囚人と同様、「元上院議員は飛行機を降りた後、ガルマンに射殺された」と主張したままで。ガルマン氏もその場で射殺されたのである。

 この国で長年、信じられてきたのは、元上院議員暗殺は、戒厳令下のマルコス大統領夫妻の独裁なしには起こり得なかったということだ。おそらく、元大統領から最も信頼されていた側近か副官たちが関与していただろう。

 しかし、この極悪犯罪に関与した陰謀者たちを突き止めるためには、単なる思い込みと強力な証拠を示すこととの間には雲泥の差がある。

 暗殺から二十四年以上も経過したが、国民は、犯行を誰が命じ、いつ、どのように計画され、誰が支援したのかを憶測することしかできていない。結果として無益だったが、アキノ元上院議員は亡命から帰国した時、発見されないように身分を隠し、飛行計画を秘密にしていたが、誰が情報を独裁政権に提供したのか、いまだ特定されていない。

 マルコス政権は当時、元上院議員が比共産党員のガルマン氏によって殺害されたと主張した。政権崩壊後も囚人たちはそう主張し続けた。夫を亡くしたアキノ元大統領は言った・・「真実を話せば元国軍兵士らを許す」と。事件の犯人として初めてマルティネス氏は特赦されたが、真実と正義はいまだにやぶの中である。(23日・スター)

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