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8月20日のまにら新聞から

記憶喪失の処方箋

[ 679字|2007.8.20|社会 (society)|新聞論調 ]

下院議長の特赦法案

 デベネシア下院議長は「国家の団結」を目的とし、「すべての国家の敵」を対象とする特赦法案が「近く」国会に提出されると発表したが、どこか聞き覚えがあるようだ。五期目に入った下院議長は中途半端なことはしない。「オール・オア・ナッシング(すべてか無か)」というやり方だが、この野心的な提案は今回の場合、失敗する運命にある。

 「すべての反乱分子と国家に対する政治犯罪を犯した者を対象とする」と彼は主張するが、どうやら政治的犯罪人だけが対象ではないようだ。議長は「特赦は真の国家統一に道を開き、次期大統領の肩の荷を軽くする」と言うが、そんな話はエストラダ前大統領が特赦対象となって初めて実現するだろう。

 だが、前大統領が問われている略奪罪は政治犯罪とは言えない。たとえこの裁判が政治的な動機によると聞かされても、公務員特別裁判所が近く判決を出すのである。下院議長はこれに気後れせず、前大統領を特赦して、「正常に戻そう。全体の合意に任せよう」と言っている。

 議長はラモス政権の特赦(一九九五年)を成功例として挙げているが、当時とは状況が違う。今、国軍はスルー、バシラン両州でイスラム勢力に大攻勢をかけており、このタイミングでの特赦の呼びかけは戦っている兵士たちの士気を落とす。大体、前大統領は罪を認めていないのだ。

 前大統領を含めた広範囲の特赦などは記憶喪失を起こさせるための処方箋にすぎない。換言すれば、下院議長の方式は「すべてを忘れよう」ということを立法府的に言っているのだ。こんなことでは政治的な未成熟が続くだけである。(15日・インクワイアラー)

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