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5月2日のまにら新聞から

中国にどう対処する

[ 698字|2005.5.2|社会 (society)|新聞論調 ]

国家主席公式訪問

 胡錦涛中国国家主席のフィリピン訪問は、東アジア地域で最大の経済成長を遂げている国とわが国との良好な関係を証明した。中国政府は首都圏とその北部をつなぐ鉄道建設へ三億ドルの融資、中国経済界は鉱山事業へ八億ドル規模の投資を約束した。また、懸案の南沙(英語名スプラトリー)諸島問題については共同開発推進で合意した。だが、近年の中国の世界における役割を考える時、貿易促進や文化交流だけでなく、比との関係の中ではより現実的な問題が存在するように思える。

 昨年、比の入管は中国人観光客に対する優遇措置に着手した。しかし、そのうちどれだけの「観光客」が、ビザ期限内に帰国しているのか私たちは知る術がない。そして、その中には自国内でさえ、やっかい者扱いされている者がいるかもしれない。最近、大量に逮捕されている麻薬密売人の多くが中国国籍なのだ。

 中国は資本家の顔をした共産主義国家であり、とても興味深い。多くの国が大きな関心と、不安を持って見つめているのも無理はない。特に最近のフィリピンは、大国中国により自国経済が食い尽くされるのではという不安と、大きなチャンスが訪れるのではないか、という期待の間で揺れ続けているように見える。

 中国は周辺国に対して強力な競争相手となる一方で、同国との経済協力強化は地域成長のけん引役となってきた。政治、経済における密接な関係は、確かに両国に対して利益をもたらす。しかし、軍事面における協力は、米国や台湾との関係を考える時に疑問符を付けざるを得ない。今後大きな試練が訪れた時、フィリピンはいかにこの問題に対処していくのか。興味深く見守って行きたい。 (28日・タイムズ)

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