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10月25日のまにら新聞から

健康最優先で支持

[ 661字|2004.10.25|社会 (society)|新聞論調 ]

たばこ増税提案

 エンリレ上院議員がたばこ増税を提案している。増税すれば歳入増をもたらし、政府の財政危機を緩和できる。同議員は増収分は百八十億ペソに達すると見積もる。また、喫煙率の低下で病気や死者が減る。

 世界保健機関(WHO)によると、喫煙が原因とされる病気治療に政府は年間約四百六十億ペソの支出を強いられている。増税で病気が減れば、歳出減も期待できる。

 わが国でたばこによる死者の九九%が貧困層であることは悲しい事実だ。富裕層にはたばこに代わる娯楽があるが、貧困層にはない。富裕層は完全禁煙、かつ空調が付いた家や事務所にいることで、受動喫煙の被害から逃れることができるが、貧困層はそうはいかない。

 エンリレ議員の提案が通れば、たばこ一箱当たりの税額は一律一三・五ペソとなる。現行はたばこの値段によって四段階の税額が設けられており、一番低い税額で一箱わずか一・一二ペソだ。

 上院はこの提案にどのような反応を見せるだろうか。一般の社会と同様、議員の中にはたばこを吸う者もいれば、吸わない者もいる。このことが増税法案に対する投票に影響を与えるだろうか。

 残念ながら、世界で全面的な禁煙実現のため、本当に強力な施策を取っている国はないのが現状だ。しかし、遅かれ早かれ、世界で全面禁煙が実現することはまったく疑う余地がない。喫煙が健康上有害であるということは、あらゆる国がすでに認めている。

 健康問題は世界各国で最優先に取り組まれるべきだ。われわれはエンリレ議員のイニシアチブをたたえたい。(19日・スター、アレハンドロ・ロセス氏)

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