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9月1日のまにら新聞から

社会混乱狙う犯行か

[ 659字|2003.9.1|社会 (society)|新聞論調 ]

シティバンク強盗

 マカティ市で二十五日、今年五件目となる銀行強盗事件が発生した。今回のターゲットは世界最大手の銀行、シティバンクの本店で、同市の心臓部である商業地域に位置していた。犯行時間も午後三時半と真っ昼間。金だけを狙った犯行とは考えにくく、アロヨ政権と社会の混乱を狙う者の仕業だろう。

 警察の調べでは、強盗団は約二十人で、M16やM14といった軍用ライフル銃で武装。迷彩服や覆面を着用している者もいた。空や警備車両に向け三十発も銃を乱射。駆けつけた首都圏警察マカティ署の警官らとも銃撃戦を繰り広げた末、三台の車に分乗して逃走した。被害総額は不明だが、手口は過去の強盗事件と共通している。

 犯行は国軍将兵の反乱事件からわずか一カ月後に起きた。同事件で高級コンドミニアムとホテルを兼ねたビルを占拠したのは迷彩服姿の兵士だった。強盗団も迷彩服を着用し、まるで良く訓練された兵士のようだった。これでは路上で迷彩服を着た警察機動隊のパトロールを見ても安心できない。そもそも商業地区に迷彩服は似合わない。

 強盗犯は逃走中ということもあり、「某政治家が二〇〇四年の選挙資金獲得の目的で行った」など様々なうわさが流れている。また、犯人の優れた装備、手際の良さなどから「反乱事件と同様、アロヨ政権への悪影響を与える作戦で国軍兵士が多数参加した」ともいわれている。

 真犯人が捕まるまで疑惑はなくならないだろう。国家警察が数々のスキャンダルや複雑な政治的駆け引きに足を取られることなく、犯人を逮捕してくれることを祈るだけだ。(27日・スター)

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