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11月30日のまにら新聞から

台風ヨランダ(30号)

[ 805字|2013.11.30|気象 災害 (nature)|ビサヤ地方台風災害 ]

国連、被災地での感染症蔓延を警戒。衛生面での支援強化を呼び掛け

最新の被災者支援状況を報告する国際機関関係者ら=29日午前11時半ごろ、首都圏マカティ市の国際労働機関比事務所で写す

 国連人道問題調整事務所(OCHA)は29日、台風ヨランダ(30号)の被災者支援の最新報告を発表した。傷口から菌が入ることで感染する破傷風をはじめ、感染症の患者が多数報告されているとし、まん延防止のワクチン接種や安全な水の確保など、衛生面での支援がさらに必要だと呼び掛けた。

 被災地の一部では、ゴミや排せつ物が適切に処理されず、放置されている場所もある。遺体の合同埋葬地の位置も住民の衛生に関わるため、オナ厚生長官は「合同埋葬地は地域の水源や、水流の近くは必ず避けるようにする」と確約した。

 同事務所によると、被災地でみられる主な疾患は、外傷、急性呼吸器感染症、発熱、皮膚病、高血圧など。厚生省や世界保健機関(WHO)が中心になり、ビサヤ地方レイテ州タクロバン市などで、破傷風、はしか、ポリオのワクチン接種キャンペーンを始めた。被災各地で計184の医療チームが支援に当たっている。

 安全な飲料水の確保や、破損した水道の復旧、トイレ・水浴び場の整備など、水・衛生面に集中して支援活動を行っている団体は少なく、強化が必要だという。

 国連の推定では、被災地では毎日600人ほどの妊婦が出産しており、妊産婦に対する医療支援も極めて重要と指摘した。

 東サマール州やセブ州北部の山間部など一部の地域で、道路が通行できない状況にあり、食料などの救援物資が届いていない場所がある。被災から3週間が経過しても、支援の地理的格差があると説明した。

 また、東ビサヤ地域をはじめ被災地住民の大半が、農業に従事しており、小作農らが年明け1月までの作付け期間中に農業支援を受けられなければ、3〜4月に収穫が得られず、収穫期のまとまった現金収入に頼っている農家が飢餓に陥り、生活を再建できないと警鐘を鳴らした。

 一時的に滞在する仮設住宅の整備や、自宅再建のための建材、道具の支援の重要性を強調した。(大矢南)

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