「日刊まにら新聞」ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
35度-25度
両替レート
1万円=P3,680
$100=P5740

8月20日のまにら新聞から

今こそ、取り組みを 

[ 699字|2012.8.20|気象 災害 (nature)|新聞論調 ]

長引く洪水被害

 豪雨と洪水が頻繁に起きることを覚悟するなら、政府は公立の医療施設をもっと、充実させなければならない。

 厚生省は、レプトスピラ症に警戒を呼び掛けている。洪水発生地域は特に注意が必要だ。ネズミの尿などで汚染された水が傷口から入ると感染する恐れがあり、今回もすでに死者が1人出ている。

 通常でも、公共の医療機関は過密状態だ。災害発生時には、特に、首都圏やその周辺地域で状況がさらに悪化する。2009年、台風オンドイ(16号)の被害を受けたラグナ湖周辺では、冠水が12月のクリスマスまで続き、住民らは汚染水による下痢だけでなく、治療がやっかいな水虫でも苦しんだ。

 雨期には、デング熱が怖い。水が引くまでに長期間かかる洪水地域では、一層まん延する恐れがある。よどんだ水は、蚊にとって申し分のない産卵場所になる。洪水被害を受けた地域には、安全な水がない。それがもたらす健康被害に、公共の医療機関は取り組む必要がある。

 政府は、避難所も改善しなければならない。現在ある避難所は過密状態だし、近年の大災害時と同様、飲料水から食料、トイレまで、なにもかもないか、不十分だ。数日間はがまんできるかもしれない。

 しかし、実際には水が引くまで何週間もかかる。その間、被災者らは手狭な避難所暮らしを強いられる。インフルエンザなど伝染病は、あっという間に広がる。こんな避難所だから、ひどい洪水地域の住民が自宅を離れて避難するのを拒否するのだ。悲しい現実である。

 豪雨は、終わったわけではない。問題地域はすでに特定されている。今こそ、政府は災害への対応にしっかり取り組むべきだろう。 (13日・スター)

気象 災害 (nature)