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8月11日のまにら新聞から

大幅減速、過去2年で最低 第2四半期成長率4.3%

[ 1029字|2023.8.11|経済 (economy) ]

第2四半期の成長率は各予想を下回る4.3%。成長目標達成に黄信号

 比統計庁は10日、今年第2四半期の実質国内総生産(GDP)の成長率(前年同期比)が4・3%だったと発表した。コロナ禍からの経済回復が始まった21年第2四半期以降で最低の成長率。7月に英字紙ビジネスワールドが調査した国内主要エコノミスト21人の予想では、5・5~7・5%(平均6・06%)の成長と推計されていたが、予想を軒並み下回った。

 今年第1四半期の成長率(6・4%)と合わせた、23年上半期の成長率は5・35%。今年の政府成長目標6~7%に到達するためには、下半期で最低でも6・65%の成長が必要となり、目標達成に黄信号がともった。

 需要面から経済主体別の成長率をみると、家計最終消費は5・5%と堅調だったが、一方で政府による消費財購入や公務員給与など政府最終消費支出はマイナス7・1%、政府・民間による固定資本投資・在庫投資の総額である総資本形成はマイナス0・04%と落ち込んだ。

 ▽予算執行を加速

 これを受け、経済閣僚らは同日、異例となる共同声明を発表。成長鈍化の理由について「飲食・宿泊など観光関連産業や民間投資が成長要因として働いたものの、これらは物価高と高金利、政府支出の縮小、世界経済の回復の遅れの影響を被った」と説明した。

 特に、政府最終消費支出が急減した理由については「今年は選挙関連の支出がなくなったため」と説明。第3四半期以降を成長軌道に戻すための方策としては「公共サービスを含む政府事業・プロジェクトの執行を加速化する」とし、そのために関連官庁に対し、事業執行遅延を取り戻す計画の策定や前倒し執行を通じ、緊急に予算執行を加速化するよう命じたと報告した。

 また、季節風による豪雨や台風5、6号による被害に対応するために政府緊急対応基金を積極活用する方針を示した。

 今年の政府成長目標については「なお達成可能だ」との認識を提示。その理由として、記録的に良好な水準の雇用、観光業の復活、投資登録の増加、対面授業の再開など、経済成長を駆動する要素が上半期でそろったことを挙げた。

 また、1月の8・7%から7月に4・7%まで低下したインフレ率について「金融緩和にとっていい前兆であり、企業・家計の経済活動拡大に結びつく」とし、利下げにも言及した。

 GDP成長が鈍化する一方で、海外からの純所得は海外比人就労の復活を反映し90・6%増加。国民総所得(GNI)は8・6%と高成長率を維持した。(竹下友章)

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