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9月17日のまにら新聞から

中止の非はどちらに

[ 677字|2012.9.17|社会 (society)|新聞論調 ]

比中首脳会談

 首脳会談をすっぽかすことで、中国はアキノ大統領に領土問題に関する最も強烈な声明を出したのかもしれない。

 デルロサリオ外務長官の説明は、予定が調整できなかった非がどちらにあるのか、はっきりしない。

 現政権は会談を「最優先事項」と位置付けていたが、中国の指導者は、大統領の顔をつぶすことを選んだ。しかし、中国は同じような領有権問題を抱えるベトナムのチュオ・タン・サン国家主席とは会談した。

 「開催時間を調整するだけ」と発言していたデルロサリオ長官は、大統領が米国務長官との懇談に多くの時間を費やしたことを、会談中止の理由に挙げた。

 大統領一行は、アジア太平洋経済協力会議が開かれた2日間で、1500万ペソの無駄金を費やしたという。

 もしかしたら、胡錦濤主席が原因ではないのかもしれない。アキノ大統領は、意見が違う者とは議論しないことで有名だ。予定時間に姿を現さないことでも悪名高い。

 「十分な時間がなかった」。それが、比中の緊張を緩和する絶好のチャンスを失った、明白な理由とは言い難い。胡主席がすっぽかしたのか。多額の税金を使ったにもかかわらず、大統領が中止を呼び掛けたのか。比政府が中止を呼び掛けたという疑惑が残る。

 事前に会談を申し入れていた中国が会談をすっぽかしたならば、比中関係の問題はさらに深まったということだ。

 もし、アキノ大統領が会談の機会を台無しにしたならば、国民にとって、さらに深刻な問題となる。いずれにしろ、比中首脳会談を実現できなかったフィリピンが負け犬であることは間違いない。(11日・トリビューン)

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