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6月13日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 607字|2011.6.13|社会 (society)|ハロハロ ]

 マニラ新聞のお手伝いのため、5月中旬来比、マカティのホテルに入ったら、顔なじみのボーイが「フェースブックで名前を調べたが無かったので心配した」という。10年来の知己のタクシー運転手も「あなたを含め日本人顧客3人の安否をフェースブックで調べたが1人しか確認できなかった」だと。皆で無事を喜んでくれたのはうれしいが、およそコンピューターとは無縁そうな彼らがフェースブックとは。ちょっと意外な気がした。

 「もうフィリピンにおいでよ。地震と放射能で危ないでショ」とフィリピーナが言う。だが比も、必ずしも安全なわけではない。昨年亡くなった西本至神父の「よあけの神父」を読むと、1990年代初頭は災害続きで「神罰が下った」と、恐れおののいたとある。90年にはバギオ、カバナツアンで大きな地震があり、レイテでは大洪水。復興もままならぬ翌年には20世紀最大といわれたピナツボ火山の大爆発、さらにマヨン山も噴火した。「この国に天災さえなければ」と神父は嘆いておられる。

 作家吉村昭は、岩手県の貧弱な集落に不釣り合いな防潮堤が建設されているのに違和感を抱き、津波の恐ろしさに思いをはせ「三陸沖大津波」を書く気になったと記している。海岸に張り巡らされた高さ10メートル超のスーパー防潮堤。今回の津波は軽々と超え、防潮堤に守られるはずだった家々を押し流した。自然の脅威の前では万善の対策はないものと心すべきか。(紀)

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