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1月20日のまにら新聞から

不眠不休の運転手

[ 729字|2014.1.20|社会 (society)|新聞論調 ]

多発するバス事故

 この国の公共交通機関はバスから電車に替える必要がある。速度規制や交通ルールを守らない無謀運転に圧倒されているのか、関係省庁はバス運営会社の無責任さを取り締まることができないのが現状だ。最近も、セブ州トレド市やバランバン町でバス事故が相次ぎ、多数が死傷した。

 バス運転手は低賃金に長時間労働という過酷な労働環境に置かれ、これが乱暴な運転を引き起こす原因になっている。しかし、運輸通信省、バス運行業者ともに問題を解決できないでいる。非難されるべきは、そういった現状に寛容すぎるこの国の文化なのかもしれない。

 最近、こんな経験をした。報道関係者や政府関係者と一緒に60席ある豪勢なバスに乗り、3日間の旅行に出掛けた。1日中走り続けたバス、夕食のためにホテルに戻った。夕食が終わると、マニラまで再び7時間。私が驚いたのは、マニラまで運転するのは、その日運転し続けていたのと同じ運転手だったことだ。不眠不休での運転に疑問を持った私は、旅行を取り仕切る担当者に尋ねた。

 すると担当者は「大丈夫です。運転手は長時間睡眠を取らなくても運転可能で、この状況には慣れています」と答えたのだ。運転手も同意の上だというが、断ったら仕事を失うのは目に見えているから、同意せざるを得ないだけだ。  

 バスに同乗していた他の報道関係者は誰も私のような懸念は抱いていないようだった。そんな心配をおくびにも出せなかったのかもしれない。 首都圏鉄道の方がはるかに便利で安全だ。世界の主要都市は道路を利用するより線路を使って人々を移動させる。50万人の通勤者を運ぶのにそれほど多くの電車は必要ないが、60人乗りのバスなら何台必要だろうか。(15日・マラヤ、ダリ・アスピリエラ氏)

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