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7月2日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 549字|2007.7.2|社会 (society)|ハロハロ ]

 東京に戻っていた間、「ウミヒコヤマヒコマイヒコ」という、一見、子供向けアニメ風題名の映画を見た。たまたま買ったA紙夕刊の映画欄に紹介されていた作品。前衛舞踏家、田中泯(みん)氏による「ダンス・ロード・ムービー」という宣伝文句は二の次で、見る気を起こしたのは踊りの舞台がバリ島などの島々で、懐かしいインドネシアの自然との「再会」を期待したからだった。

 上映館は渋谷の喧騒から多少遠ざかった小さな映画館。「独占ロードショー」初日のためか、百二の客席はすべて埋まった。会場を見渡すと女性客の方が圧倒的に多い上、前衛舞踏とは縁の薄そうな高齢者も交じっていたことから、舞踏鑑賞よりはインドネシアの自然に魅力を感じて駆けつけた「同輩」が多かったようだ。

 さて百二十分にも及ぶ大作の内容だが、確かに田中氏はインドネシアの豊かな自然を背景に、六十二歳らしからぬ引き締まった肉体をさらけ出し、ひょうひょうと踊ってはいた。しかし、その姿を遠巻きに眺める地元民には「怖い物」見たさの風と戸惑いの表情がありあり。「いつの間にか老若男女が集まってくる」との作品紹介とは異なり、田中氏の舞踏は「唯我独尊」状態の連続。その中、銀幕に映し出された島々の自然と民族の伝統文化は個性に富み、大いに楽しめた。(道)

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