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12月18日のまにら新聞から

「海上安保さらに強化を」 比日首脳会談

[ 903字|2023.12.18|政治 (politics) ]

マルコス大統領と岸田首相が会談。比沿岸警備隊と海上保安庁間の新たな覚書が取り交わされ、海上安全保障分野での協力強化で一致した

日・ASEAN特別首脳会議場で握手するマルコス大統領と岸田首相=17日、東京(大統領広報室が公開)

 マルコス大統領と岸田文雄首相は17日午後、首脳会談を行った。会談には比からロムアルデス下院議長、マナロ外相、ラウレル農務相、ロイザガ環境天然資源相、ガラフィル報道長官、比沿岸警備隊ガバン長官ら、日本から齋藤健経済産業大臣、森屋宏内閣官房副長官、海上保安庁石井昌平長官らが出席。会合では比沿岸警備隊(PCG)と海上保安庁との間の協力覚書、比環境天然資源省と環境省との間の協力覚書が取り交わされた。

 岸田首相は、政府安全保障能力強化支援(OSA)による沿岸監視レーダーの供与を着実に実施するとともに、今回署名された海上保安機関間の協力覚書も踏まえ、海上保安能力向上に関する協力をさらに強化したいとの意向を伝えた。両首脳は、訪問部隊の法的地位を定める部隊間協力円滑化協定(RAA)交渉の早期妥結や海上保安機関間の協力強化に向け、引き続き連携していくことで一致した。

 また岸田首相は、18日に初めて開かれる「アジア・ゼロエミッション共同体」首脳会合を契機に、エネルギー移行や脱炭素化に向けた協力を強化するとともに、引き続きインフラ協力も着実に進めたいとの意向を伝えた。マルコス大統領は、これらの分野でも日本との協力をより一層進めたいと応じた。

 ▽比日米3カ国協定も

 マルコス大統領は16日に複数の日本メディアのインタビューに応じ、南シナ海での中国との緊張が「過去数年間、特にここ数カ月間で増大している」との認識を提示。ロシアとウクライナの軍事衝突を「悲劇」とし、「アジアで新たな戦争を始めたくない」と強調、南シナ海情勢は「世界が直面する最も複雑な地政学的問題」としながら「新たな解決策」にオープンだとした。

 大統領は、訪問部隊の法的地位を定める円滑化協定(RAA)の交渉開始や政府安全保障能力強化支援(OSA)を通じた沿岸監視レーダーの移転など、日本との安全保障協力の進展については「非常にいい展開だ」と歓迎。「軍には戦術作戦があり、お互いに訓練して相互運用性を高める必要がある」とし、比日2カ国レベルにとどまらず、比日米3カ国協定を含め多国間に拡大すべきだとの考えを示した。(竹下友章)

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