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海外就労の終わり

2012/9/3 社会

40年続く労働力輸出

 フィリピンに年間200億ドルを超える外貨をもたらし、経済成長を支える比人海外就労者(OFW)。彼らの多くの実像は、母国に残した家族のため、国外で奴隷同然の扱いに甘んじる殉教者にほかならない。

 海外就労が始まったのはマルコス政権下の1970年代。就労先は中東の産油国が中心だった。経済危機をしのぐ一時的措置で、72年1年間のOFW出国者数は1万4千人余りだった。

 しかし、OFWと外貨送金額は増加の一途をたどり、10年後の82年には、労働雇用省傘下に海外雇用局(POEA)が新設され、労働力輸出が「国策」に加わった。年間出国者数はアロヨ前政権下の2006年に100万人、09年に140万人を突破し、最新統計では、国内人口の1割強に当たる1200万人がOFWとして世界約200カ国・地域に滞在している。

 外貨と引き換えに、生み出されたのが、父親はサウジ、母親は香港、長女は台湾、長男はドバイでそれぞれ働き、末っ子だけが比国内に取り残されるという「国家の枠を超えた分散家族」だ。違法就労あっせんなどOFWが直接受ける被害に加えて、国内に残された家族、特に両親不在のまま育つ子供が強いられる犠牲は、非常に大きな社会的コストと言えるだろう。また、好待遇を求めて出国する医師や看護師、教師、技術者は、年間数千人規模とみられ、これら国の発展に欠かせない頭脳の海外流出も大きな問題だ。

 海外就労が始まって約40年。国内雇用の拡大を公約する現政権は、海外出稼ぎを5年以内にゼロにすることを検討している。専門家らは「比の労働力輸出は、韓国やマレーシアのような経済発展を遂げた時に終わる」と指摘するが、果たして公約は実現されるか。(8月28日、インクワイアラー)

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