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「こんなにうれしいことはない」 残留二世サムエルさん就籍

[ 912字|2024.11.17|社会 (society) ]

昨年クラウドファンディングで沖縄に一時帰国してた残留2世のアカヒジ・サムエルさんが「香村サムエル」として就籍

沖縄から来た親族と再度対面したサムエルさん(中央)=15日、パラワン州コロン島(PNLSC猪俣典弘代表提供)

 残留日本人の国籍回復を支援するNPO「フィリピン日系人リーガルサポートセンター(PNLSC)」は15日、昨年12月に塩村あやか参議院議員(立憲民主党)と共同のクラウドファンディング事業を通じて沖縄に一時帰国していた残留日本人二世のアカヒジ・サムエルさん(82)に就籍許可が下りたと発表した。父親の名は「赤比地勲」で、戦後赤比地家が香村に改姓したため、うるま市平安座島の父の戸籍に、「香村サムエル」の名で就籍することとなった。ちょうど14日から沖縄で親族と名乗り出た人たちが来比しており、サムエルさんが住むパラワン州コロン島で直接就籍通知を行った。

 サムエルさんは、「親せきの皆さんがわざわざ私に会いに来てくれたことが本当にうれしい。そして日本国籍を認めたことも知らせてくれた。こんなにうれしいことはない」と喜びを語った。いとこに当たる香村幸男さんは、「いとこのサムエルさんの国籍回復がかないとても喜んでいる。弁護士をはじめ、日本政府、支援くださったみなさまのお陰。これからも沖縄系の残留二世が一人でも多く救われるよう頑張ってほしい」とさらなる当事者救済に期待を寄せた。

 サムエルさんの一時帰国に尽力した塩村議員は自身のSNSで「戦後80年近くたち、無国籍から日本国籍へ。来日時に身元保証人となった私としても喜びひとしお、感涙です」と喜びを表した。

 PNLSCの猪俣典弘代表は「サムエルさんのケースは報道と親族の全面協力があり、身元判明と国籍を勝ち取ることができた。残留二世は戦争のために家族が離散し、残留を余儀なくされた人たち。国籍回復を希望する2世は50人近くいるが、このままでは手遅れになる。てきる調査は尽くしており、後は政治的に国籍を認める一括救済など、一刻も早く救済措置を進めてほしい」とコメントした。

 PNLSCによると、現在家裁に国籍の就籍を申し立てている2世は10人。申請の準備中や検討中の二世は50人弱おり、平均年齢84歳と高齢化が進む。両親の婚姻を証明する書類が残っていないなどの理由で申し立てが困難なケースが多い。多数の残留二世が無国籍状態のリスクを抱えたままとなっている。(竹下友章)

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