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「海洋資源保護には国際協力が不可欠」 南シナ海の生物多様性フォーラム

[ 1280字|2024.2.12|社会 (society) ]

ストラトベースADR研究所は、日本国大使館と共催で、「西フィリピン海における生物多様性に関するフォーラム」を開催

 国際シンクタンクのストラトベースADR研究所は8日、首都圏マカティ市で「西フィリピン海(南シナ海)における生物多様性に関するフォーラム」を開催した。在フィリピン日本国大使館と共催。同フォーラムで比日双方の専門家は、「攻撃的で強圧的な国家」による破壊活動が継続する中で、「海洋資源保護に向けた国際協力が不可欠」とのメッセージを発表した。

 同研究所の11日の声明によると、海洋環境保護のため、国際社会がどのように協力できるかを示す例として、公海条約としても知られる「国家管轄圏外区域の海洋生物多様性」(BBNJ)協定が焦点となった。

 海洋法や国際法が専門の西本健太郎教授=東北大=は、同協定が国際的な協力と協調を通じて、自国の管轄権を超えた地域における海洋生物多様性の保全、そして持続可能な利用を確保するものと説明。2023年6月に比や中国を含む86カ国が署名を行ったが、60カ国の批准が協定の発行条件であるものの、現時点で1カ国にとどまっているという。

 西本教授は「この条約が発効すれば、海洋に適用される法の支配に新たなレイヤーが加わることになる。南シナ海の仲裁裁判は、この条約と互いに関連し合っている」と強調。この協定によって南シナ海の公海上に海洋保護区を設置することが可能になるとの見方も示した。

 同研究所のディンド・マンヒット代表によると、海洋領土とその資源を保護するための法律があるにも関わらず、西フィリピン海では問題が依然続いている。「フィリピンは一群島国家として、生物多様性の損失に抗い、海洋資源を守ることの価値が分かっている。2023年に国軍は、中国によるロズール礁での大規模なサンゴ違法採取やサンディ砂州での大量のサンゴの死骸投棄があったことを報告している。これらを侵略と抑圧の行為とわれわれは見なしている」との意見を伝えた。

 マンヒット代表はまた、各国が自国の管轄範囲を超えた海洋環境を保護していくよう期待されているとの考え方に同意。「海は国際社会が協力して共有の資源を保護することを求めている。世界共通のものを守るため、知識を身につけ、技術的な専門知識を共有していくことは、国際秩序の強化に繋がる」とも呼びかけた。

 フォーラムに出席した日本国大使館の松田賢一次席公使は、南シナ海における地政学的緊張の高まりの中、志を同じくする国々と協力し、法の支配を守っていくとの日本のコミットメントを再確認した。松田公使は「このような不安定な情勢が拡大する中、日本は法の支配を維持する『国際社会の構築』というコミットメントを堅持している」とし「法の支配の強化が日本の外交政策の柱の一つであり、われわれは志を同じくするパートナー、特にフィリピンと手を携えて協力し、普遍的に受け入れられる価値と原則を確保する決意だ」と述べた。

 さらに公使は「自由で開かれたインド太平洋というビジョンに導かれ、日本は東シナ海と南シナ海における航行、上空の自由、海洋環境の保護と保全、紛争の平和的解決を確保するため努力していく」とも語った。(岡田薫)

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