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「対話と積極性を強化」 酪農支援のJICA協力隊が中間報告

[ 1253字|2024.1.30|社会 (society) ]

酪農支援に携わるJICA海外協力隊員による中間報告会が開かれる。新隊員も意気込み語る

中間報告のプレゼンを行うJICA海外協力隊の工藤祥平さん(右)とその配属先の酪農組合のホセリト・サプアンさん(左)=29日、首都圏マカティ市で沼田康平撮影

 首都圏マカティ市にある国際協力機構(JICA)フィリピン事務所で29日、JICA海外協力隊員による中間報告会が開かれた。隊員の工藤祥平さんは2023年2月、ビサヤ地方東ネグロス州ドゥマゲテ市の酪農協同組合所有の牛乳処理プラントに配属され、今回の発表会でこれまでの成果や課題など同組合での1年間を振り返った。

 同報告会にはJICAの竹中成文次長や工藤さん含め現在、比に派遣されている海外協力隊員9人全員、比国家経済開発庁ボランティア調整局(PNVSCA)、そしてオンラインからも関係者らがプレゼンテーションを見守った。

 工藤さんは配属先である同組合の概要や活動内容を紹介。比が直面する課題として生乳の自給率や乳牛1頭あたりの生産量の低さを挙げ、工藤さんは目標として同組合の加入農家の所得向上を掲げていた。目標達成のために必要な指標として①所得向上につながる生乳と乳製品の効率的な生産②乳牛の飼料環境の改善③生産的かつ効率的な乳牛の管理――を説明し、それら目標に対する現時点での活動や達成度を報告。

 直面した課題については「多くの会議が現地語で話され、専門用語も多いため、内容の理解が難しかった」と話した。1年間の教訓として「コミュニケーションの徹底と積極性向上を図りたい」と話し、また今後のプロジェクトを改善するために「計画の改善と柔軟性」が必要と振り返った。

 工藤さんの発表の後には関係者による質疑応答が行われた。質問やコメントのなかには、酪農家との関係構築が重要として、言語の問題だけでなく、訪問の回数を増やすべきとの指摘などもあり、活発な意見交換が繰り広げられていた。

 竹中次長は「生乳増産に苦労もされているようだが、色んなアイデアをもって挑戦しており、今後に期待したい」と話した。またPNVSCAのクレア・パントーさんは「まだ道半ばのようで、他のボランティアの方々も含めて次会うときが楽しみ」と回想した。

 ▽やる気十分な新隊員

 中間報告会に参加していた西崎一哉さん(29)は今月海外協力隊として着任。マラボン市で、比の子どもたちを支援するNGO団体に所属し、日本の民間企業でマーケティングや営業、経営企画を活かして、広報活動を支援する。「まず最初の3カ月で目標を立てるための現状調査を行い、しっかり目標を組んで達成したい」と意気込みを語った。

 また、同じく同月に着任した前川未歩さん(28)はJR関連会社で商品開発などを担当してきた。同じくNGO団体でマーケティングを担当する。

 前川さんは大学で開発経済学を専攻し、国際協力に関心を持ったという。一方、短期では表面上でしか取り組めず、「ハード面だけでなく、ソフト面も含めて、本当に必要なことができる、長期間寄り添って支援できる協力隊にいつか挑戦しようと思っていた」と明かし、「できることが限られるボランティアという立場ではあるが、現地のニーズをくみ取って一緒に考えて取り組んでいきたい」と話した。(沼田康平)

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