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6月2日のまにら新聞から

日米最大巡視船が到着 初の3カ国海保訓練開始

[ 1392字|2023.6.2|社会 (society) ]

合同訓練のため海保最大の巡視船あきつしまと米沿岸警備隊のUSCGCストラットンが比到着

首都圏マニラ市に到着した巡視船あきつしま(上)と巡視船USCGCストラットン(下)=マニラ市南港で1日午前、竹下友章撮影

 初の比日米3カ国海上保安機関による合同海上訓練を行うため、首都圏マニラ市南港に1日午前、海上保安庁所有船で最大級の巡視船あきつしま=150メートル=と米沿岸警備隊(USCG)所有巡視船で最大級のUSCGCストラットン=127メートル=が到着した。両巡視船は日米の旗を降る比沿岸警備隊(PCG)隊員と同音楽隊の演奏により盛大な歓迎を受けた。PCGのバリロ報道官によると、今回の訓練には合計で約400人の要員が参加する。また、同訓練には比米合同軍事演習バリカタンなどにならって「カアガパイ」(協力)という名前が付けられたことを明らかにした。

 訓練開始式にはPCGのロランド・プンザラン副長官、在比日本国大使館の松田賢一次席公使、ヘザー・バリアバ駐比米国大使代理、エルマー・サルミエント運輸次官、比日米巡視船の船長らが参加した。

 合同訓練開始式でPCGのプンザラン副長官は「今年マルコス大統領が日本と米国を訪問した際、バイデン大統領、岸田首相とそれぞれ海上保安分野での協力強化と相互運用性高度化で一致した。そして今、初の3カ国合同訓練に着手できた」と述べた。バリアバ大使代理は「22年から日米共同のPCG能力構築支援を開始したが、わずか1年あまりで両国が最大巡視船を比に寄港させ3カ国合同での海上法執行・海難救助訓練に発展させられた」とし、3カ国海上保安協力の急速な進展を喜んだ。

 松田次席公使はスピーチで、5月の比米首脳共同声明に沿った表現を用いながら「われわれはより進んだ3カ国協力の形態の確立を暖かく迎え入れる」と歓迎の意を表し、「比米外務防衛閣僚会合(2プラス2)で固まった同志国と多国間海上活動を実施する方針を日本は強く支持する」と宣言した。4月に7年ぶりに開かれた比米2プラス2では、中国の海洋進出を念頭に「集団的抑止力を向上させる」ため南シナ海で同志国との合同海上活動を実施することが宣言されていた。

 また、USCGは巡視船USCGCストラットン内部をメディア向けに公開。同船が搭載している捜索救難・航空攻撃に利用される巡視船登載ヘリMH-65ドルフィンや、高速攻撃艇インターセプター、広域航空哨戒用のカタパルト付きドローンを紹介した。

 ▽南シナ海で哨戒も

 巡視船いつくしまの今井徹船長は会見で「新型コロナの影響で巡視船による国際交流も停滞していたが、2018年の巡視船えちご=105メートル=の入港以来、5年ぶりに海保の巡視船がマニラを訪問できた」と説明。「国際交流再開後すぐに比での活動を行ったことは、海保がPCGを重視していることの証。非常に大きな意味がある」と強調した。入港式典については「想像をはるかに越える式典を挙行していただいた」として海保を代表し感謝を表した。

 また記者団に対し「今回の派遣は対海賊哨戒目的でもある。海保は2000年から東南アジア周辺海域の海賊対策として公海上での哨戒を行ってきた」と明らかにし、派遣の道のりでは哨戒を行いながら、寄港先の海上保安機関と訓練を通じて能力を高め合うという海保の国際貢献の方法を説明した。

 日本最大級のしきしま型巡視船あきつしまはヘリコプターを2機登載可能で、2013年就役。2015年には当時の天皇皇后両陛下(現上皇上皇后両陛下)がパラオ訪問の際に宿泊されている。(竹下友章)

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