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3月12日のまにら新聞から

平等への挑戦 国際女性デー

[ 732字|2017.3.12|社会 (society)|新聞論調 ]

 8日の国際女性デーの前夜、フィリピン国軍士官学校(PMA)を女性が首席で卒業した、という心温まるニュースが舞い込んだ。1993年に初めて女性の入学が認められて以降2回目の快挙だ。

 フィリピンは世界的にみても女性の社会進出度が高く、男女の平等が保証されている。しかし、毎年恒例の世界的な調査で、順位の足かせとなっているのが人口抑制に関する法制度の不備である。人口抑制法はアキノ前政権下の2012年に成立したが、カトリック教会を中心とする反対派の違憲申し立てにより、最高裁は同法の施行を差し止める仮処分命令を出した。以来、司法判断は出ていない。

 しかし、同法の施行はドゥテルテ政権下においても社会経済分野の最優先課題と位置づけられ、多くの貧しい比人女性たちには今後、他国が長年享受してきた権利が付与される可能性がある。それは出産や家族計画に関する選択の自由だ。

 人口抑制法の議論とは別に、貧困層の比人女性たちは女性の権利を守る数々の法律を認識する必要がある。国会はこれまで、女性に対する差別、暴力や嫌がらせから身を守り、生活向上プログラムや教育を通じた女性の社会福祉向上を推進する法案を可決してきた。しかし、多くの女性がその法律を熟知していないため、被害女性に対する救済措置が適切に施されていなかった。

 ともあれ国際女性デーを祝福しよう。比国内の女性は、大統領や最高裁長官に就任することができ、弁護士や実業家、飛行機の操縦士などさまざまな分野で社会的進出を果たせるのだ。

 国軍士官学校での首席卒業という快挙は、見えない昇進の壁を壊した1つの例にすぎない。男女平等に関する挑戦は、草の根の民衆までもっと広く行き渡らなければならない。(8日・スター)

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