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1月8日のまにら新聞から

[新聞論調] 刑事司法を通じた「近道」を 警察幹部への辞表要求で

[ 737字|2023.1.8|政治 (politics)|新聞論調 ]

 国家警察幹部には辞表を出し渋る者もいるとの報道がある中、マルコス大統領は6日に、警察幹部による任意の辞表提出が違法薬物撲滅キャンペーンの一環だとし、その支持を表明した。この呼び掛けは国家警察を管轄するアバロス内務自治相が4日に行っていた。

 アズリン国家警察長官は5日、表向きは辞表を提出し、部下にも同じ姿勢を促した。この呼び掛けは警察幹部956人(警視相当812人、警視以上144人)に影響を与えるとみられる一方、違法薬物への関与が疑われているのは10人未満と見積もっている。いっそのこと、対象を「国家警察全体に拡大すべき」との意見も聞かれる。

 実際には多くの下級警官が、麻薬取引や違法賭博、恐喝、誘拐などの犯罪に関わっているとされ、組織全体の粛清を実施すべき、との意見にはうなずける。2021年のオンライン闘鶏に関わった実業家がラグナ州で失踪した事件では、下級警官5人が起訴された。

 もう一例は、首都圏での22年10月のおとり捜査で逮捕された麻薬取締班のロドルフォ・マヨ巡査部長だ。事件では覚醒剤990キロ(67億ペソ相当)が押収されており、アズリン長官は、下級警官が独自に1トン近い覚醒剤を取り扱うことの非合理性に注視し、上級警官の関与を疑っていたが、決定的証拠はまだ得られていないと述べた。

 人権委員会は違法な薬物取引に関わった幹部が訴追を受けずに退職することが許されれば、説明責任が失われる可能性を指摘した。アズリン長官は「関与した警官は訴追されるだろう」と述べたが、有罪が下るまでの長期裁判中も毎月の年金は振り込まれ続ける。アバロス大臣はこれを浄化の「近道」だとした。どんな近道であれ、刑事司法手続きに基づくものであるべきだ。(7日・スター)

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