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6月22日のまにら新聞から

「債務のワナ」回避の鍵は日本 中国念頭にロクシン外相

[ 619字|2022.6.22|政治 (politics) ]

ロクシン外相は「東南アジア諸国が債務のワナを回避する鍵は日本だ」と述べた

ロクシン外相=外務省公式ツイッターより

 ロクシン外相は19日夜、途上国に返済能力以上の融資を行い外交上の譲歩を迫る「債務のワナ」について「日本政府は無償援助と共によりよい条件で借款事業を行っている。東南アジア諸国にとって債務のワナ回避の鍵は日本だ」と述べた。21日の英字紙スター電子版が報じた。

 「債務のワナ」は、中国が「一帯一路構想」に基づきアジア・アフリカ諸国に大規模融資を実施し、返済に困難を抱えた被援助国での権益獲得を進めたことを背景に、インドの地政学者ブラフマ・チェラニー博士が提唱した概念。中国からの援助の裏にあるとされる「借金漬け外交」に対し、外相が警鐘を鳴らした格好だ。

 同相は昨年4月にも「中国政府による借款は日本のように『フェア』だが、日本はより低い利子と長い支払期間を提案してくれる。日本の借款事業をこそ活用すべきだ」と述べていた。

 中国に110億ドルの債務を抱え、4月に債務不履行(デフォルト)にすることを宣言したスリランカは、17年7月には中国からの借款で建設したハンバントタ港の経営権を向こう99年中国企業にリースすると決定。中国にとってインド洋上のシーレーンの要衝となる同港は、債務のワナによって事実上の「租借地」となったと評されていた。

 比中央銀行によると、フィリピンの国別対外債務残高(3月末時点)で日本(政府・民間含む)は145億3000万ドルの対比債権を持つ最大融資国。一方、中国は25億9700万ドルで6位。(竹下友章)

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