14日に南シナ海で実施された第2回比日共同海上活動(MCA)では、人民解放軍軍艦2隻が出現し、訓練を行う比海軍・海上自衛隊艦を追尾・監視した。比海軍最新ミサイルフリゲート艦「ミゲル・マルバール」(118メートル、5月20日就役)に乗艦取材したまにら新聞含む一部メディアも目撃した。
「共同活動」が実施された演習海域は、サンバレス州沖約50カイリの海上。領海・接続水域外に出た比の排他的経済水域(EEZ)で、中国に実効支配を奪われたパナタグ礁(スカボロー礁)にも近い。午前8時ごろ、海上自衛隊護衛艦「たかなみ」(151メートル)と共同航行を開始したとき、中国艦がBRPミゲル・マルバールの左舷側に出現した。船首番号は569。ジャンカイ2級フリゲート「玉林」(134メートル)だ。同艦は3月、4月にも沖縄本島南西約650キロで観測されている。
さらに訓練中、演習海域内には船首番号「161」の中国艦も出現。同艦は中国最新鋭のルーヤン3級ミサイル駆逐艦「呼和浩特」(157メートル)で、長射程の艦対空ミサイル(SAM)などを装備する。4月に長崎・対馬の北東40キロの海域で観測された軍艦だ。
ミゲル・マルバール艦内作戦担当のブライアン・マグラ少佐は記者団に対し、中国艦の存在を確認し、「われわれは中国艦を観測したが、われわれの活動に干渉することはなかった」と説明した。
今回の共同活動では、たかなみが発射した模擬対潜水艦標的(EMATT)をミゲル・マルバールが模擬射撃。マグラ少佐は「BRPミゲル・マルバールは先月就役したばかりで、今回初めての演習となった」と報告した。
ほかにも、比海軍ヘリ「AW159」、海上自衛隊の哨戒ヘリ「SH60K」、比空軍のセスナ208も投入。比軍ヘリが護衛艦たなかみに着艦した。
昨年8月に初めて実施された比日2国間のMCAでは海上自衛隊護衛艦「さざなみ」(151メートル)と比海軍のフリゲート艦「ホセリサール」(107メートル)が通信訓練や艦隊運動訓練を実施。今年2月にはホセリサールと護衛艦はまぎり(137メートル)が「親善訓練」を実施しているが、今回はより本格的な演習の色合いを強めた。
比国軍のブラウナー参謀総長は15日に声明を出し、「この活動は単に能力を見せるだけでなく、インド太平洋における平和・安定、そしてルールに基づく秩序に対するわれわれの揺るぎないコミットメントの表れだ」とし、「部隊間協力円滑化協定(RAA)によって日本との連携はますます強化され、複雑な安全保障環境への対応力も向上する」と期待を示した。(ロビーナ・アシド、竹下友章)