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ひと交差点

第4回 ・ 「生活に歌が根付くフィリピン」 歌手の一青窈さん

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一青窈さん(本人提供)

 上級ライセンスを持つダイバーで、フィリピンを訪れるのは2回目。今回は6日間の旅、ビサヤ地方ボホール島の海を満喫した。

 「東南アジアならではのおおらかさ、フレンドリーな心地よさに加え、歌のうまさと英語の発音の良さでは、フィリピンが群を抜いている」と感心する。

 「街中や飛行場、船着き場、いたるところにバンドがいて、中には目が不自由な人も。商店の従業員や普通のおばさんも、暇さえあればみんな歌っている。しかも、うまい。生活にごく自然に歌が根付いていて、歌を歌っている人間としていいな、と。日本でも、昔は駅前の大道芸人に合わせてみんなで歌うような風景があったが、今は『歌はちゃんと、ライブに行って聞くもの』と、何かきれいになってしまって」

 一青さんのヒット曲「ハナミズキ」は、日本人向けのカラオケ店で働くフィリピン人女性にも大人気だ。東京では友人らから「フィリピンパブの女の子たちも、みんなハナミズキ知ってるよ」と声を掛けられ、初めて彼女たちのハナミズキを聞いた。

 「日本語で歌ってもらえるのがうれしかった。歌手冥利(みょうり)に尽きます」

 台湾人と日本人の両親を持つ。東京生まれ。生後間もなく、両親と台湾に移り、6歳までそこで育った。その後は、日本を拠点に双方を行ったり来たり。国境を越えることや、異なる言葉、文化に触れることに抵抗感がない。一人旅が好きで、今年はすでにミャンマーとラオスも旅した。

 「日本にいるといろんなことが当たり前だと思ってしまう。固まった自分の考えを一度ガラガラって崩すために旅に出ます」

 異なるものに、オープンで気さくな人柄。気になる情報があれば、その場でメモを取る好奇心に満ちた姿が印象的だった。(大矢南)

 ひとと・よう 歌手。シングル「もらい泣き」で2002年デビュー。代表曲に「ハナミズキ」「影踏み」など。04年に映画「珈琲時光」、08年に音楽劇「箱の中の女」で主演をつとめ活動の幅を広げる。昨年、デビュー10周年を迎えた。

(2013.6.3)

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