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9月3日のまにら新聞から

新聞論調 平凡な人々の並外れた人生 名もなき「英雄たち」

[ 620字|2023.9.3|社会 (society)|新聞論調 ]

 「英雄の日」の8月30日、教育者の集まりで耳にしたことに思いを馳せる。「英雄には、並外れた人生を送った並外れた人がいる。そして並外れた行いをした普通の人たちは、もっとたくさんいた」

 ホセ・リサールは前者の一人だ。彼の人柄とその生涯の非凡さに匹敵する人はいないだろう。彼は革命を鼓舞し、現状に挑戦し、自由の象徴となり、国民と国家のアイデンティティー形成に貢献した。

 後者は、平凡な人生を送りながらも祖国が招いた危機に立ち向かった人々だ。その一例がアンドレス・ボニファシオだろう。国の独立への熱望が若い同世代の情熱となった時、トンドでの商売を辞めた。その後植民地支配に対する武装革命を起こし、わが国で最も有名な自由への「叫び」を導いた。

 革命軍を率いた将軍の中にも、農民や教師など「平凡な」男たちがいた。恐れられ尊敬されたアントニオ・ルナは薬剤師だった。

 比人女性も負けていない。そのリストにメルチョラ・アキノ(タンダン・ソラ)がいる。「カティプナンのナイチンゲール」になる前は、歌手で商人だった。

 第二次世界大戦中の有名な女性ゲリラ、ニエベス・フェルナンデスは、地下の自由戦士リーダーとして恐れられる前は教師だった。

 リストはまだまだ続く。平凡な生活を送る多くの比人が、いざとなれば並外れた行いをできるということは、現代の名もなき英雄たちの中にも表れ、その精神は今日も生き続けている。(8月30日・マニラブレティン)

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