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8月20日のまにら新聞から

新聞論調 非生産的なコストと知るべし 燃料補助金

[ 652字|2023.8.20|社会 (society)|新聞論調 ]

 市場が再び物価上昇圧力にさらされ始めている時期に議会では予算委員会が行われ、運輸、漁業、農業などの主要部門への燃料補助金の扱いに注目が集まっている。現在の燃料補助金に関する最も明白な問題は、政府にとって多大な経済的負担となっているということである。例えば、全国に8万7000人いる漁業者は月額1000ペソの燃料補助金を求めている。

 第2の問題は、燃料補助金が気候変動対策と相容れないということである。補助金はCO2排出を助長する非生産的なコストといえる。しかし燃料補助金の打ち切りを決定した場合、政治的な不安定を招きかねない。

 単に燃料補助金を打ち切るだけでは大混乱を招くため、来年度予算案は現状のまま維持されるべきだろう。しかし、それは各関係省庁の政策立案者が補助金を削減し、最終的には完全に廃止するためのロードマップを作成するための「時間稼ぎ」であると考えるべきである。

 影響を受ける利害関係者と協力して、補助金と同等のレベルの支援を提供できる実行可能な代替手段を見つける必要がある。例えば、ジプニーの運転手に対する燃料補助金の代わりに、近代化プログラムの下で新型車両に乗り換えるための財政援助を大幅に引き上げることも検討すべき余地があるだろう。

 燃料補助金が結局は非生産的なコストであるという認識が政策転換を促し始めている。これは賢明である。フィリピンは輸入燃料に大きく依存しているため、燃料価格は常に大きく変動し補助金で対応し続けることは不可能だ。(19日・マニラタイムズ)

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