説得力ない政策
石油価格高騰
アキノ大統領は、政府の石油製品に対する付加価値税(VAT)課税を擁護する決意をした。原油価格が1ドル上がるたびに政府の収入が10億ペソ上がるという、たなぼた的巨利を得ていることはすでに証明されている。不運なことに、石油価格上昇に伴うVATの増加でこの巨利を支払っているのは消費者である。
しかし大統領は、石油製品に対するVAT引き下げもしくは撤廃に対し次のような反論を展開する。一つは、「政府は社会福祉事業に必要な予算がいる」。石油製品に課される税収のうち社会福祉事業に利用されているものはない。最大の社会福祉事業である最貧困家庭向けの現金支給事業で必要な資金391億ペソは国際機関からの借款だ。
二つ目は、「VAT引き下げや撤廃は、石油を大量購入する富裕層を利することになる」。大統領は公共交通機関運行業者への補助金支給などより対象を絞ったアプローチが効果的という。しかし、これも自らジプニーの初乗り運賃50センタボ値上げを承認したことで、無用さを露呈した。結局、石油高騰に無策のままならストライキを実施すると訴えた運行業者らのいらだちを補助金だけでは鎮めきれなかった。
三つ目に「税率引き下げにより必要以上の石油製品が消費される」。物価が下がると消費量が増えるという普遍的な事実があるという。「エコノミスト」を装う大統領だが、石油需要は非弾力的だという事実を無視している。つまり価格変動は消費に影響しない。大統領のためにもっと分かりやすく言えば、我々は値下げされたからといって給油所で満タン以上の石油は購入しない。大半が満タンで満足し、運転を続けるのだ。(21日・スタンダードトゥデー)