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9月26日のまにら新聞から

新聞論調

[ 716字|2011.9.26|社会 (society)|新聞論調 ]

石油価格高騰問題

 ジプニー運行者・運転手組合「ピストン」が19日に実施したストライキは、石油製品価格の値下げをにはつながらないだろう。

 ストの目的が石油価格高騰問題の解決であれば、組合側は異なったアプローチが必要だ。今回のストが失敗に終わったのは、組合側が政府という間違った標的に訴えたからである。原油の国際市場に政府の影響力はない。比国内の小売りレベルでの影響を緩和する程度だ。例えば石油製品に対する課税を中止し、価格決定の透明性を高めることぐらいだろう。

 市場の力だけに頼っても解決にはならない。問題は比の元売り各社間で競争原理が働いていないことにある。組合側は、石油価格設定の実態を調査するよう政府に要請すべきだ。

 競争力を高めるためには、政府は多国籍の石油企業を比に誘致する必要がある。しかし、途上国は世界的な金融危機からの立ち直り段階にあり、比が魅力的な投資先と位置付けられていないことからも、それは難しい。

 組合側は従来の燃料に代わる新たな燃料の導入を推進すべきだ。たとえば、公共交通機関を液化石油ガス(LPG)に転換できるよう、補助金支給を求めるロビー活動などである。  

 ストは、政治家たちへのアピールや一般市民の反感を買うという意味で、一定の効果をもたらすと主張する人もいる。市民の怒りを買うことで、政府に圧力を掛けることも可能だ。

 しかし、実際に多くの通勤者は、時代遅れな政治目的を達成するために自分たちが利用されることを望んでいない。組合側に同情的な一部の人たちでさえ、こう尋ねるかもしれない。「石油製品の価格高騰が政府の責任であるなら、なぜ通勤者が不快な思いをする必要があるのか」(20日・タイムズ)

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