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7月16日のまにら新聞から

幻想捨て現実見よ

[ 715字|2001.7.16|社会 (society)|新聞論調 ]

離婚合法化問題

 ビアゾン上院議員が離婚の合法化を求める法案を提出した。同様の法案は過去何度となく審議されてきたが、カトリック教会の強い反対で成立には至っていない。

 同議員の法案も例外ではない。教会は既に「離婚は反道徳的」と反対を表明。熱心なカトリック教徒のアロヨ大統領も「離婚で悪夢のような災難が子どもたちに降りかかるだろう」と教会と共闘する姿勢を明確に示している。

 大統領は「離婚は家族の結束を弱め、社会そのものを解体に追い込む恐れがある」と言うが、結束した家族や価値観を共有する社会といったものは、教会の生み出した幻想に過ぎない。

 現実に目を向ければ、貧困によって崩壊する家族の姿が見えてくる。外国人の幼児愛好者に子どもを売る親。金目当てで年老いた外国人に嫁いでいく娘たち。海外就労で別居を余儀なくされる夫婦や親子。父親の酒代を稼ぐため物ごいや盗みを続ける子ども。離婚が禁止されているがために、結婚に踏み切れずに同棲を続けるカップルや憎み合いながらの生活を強いられる夫婦もいる。

 彼らの存在を前にした時、教会や大統領は「家族神話」を語っているに過ぎないことが分かるはずだ。

 フィリピンの歴史は部族闘争、階層間抗争の歴史でもある。これは、政府と教会が「国がどの方向へ向かっているのか」という問いの答えを国民に示してこなかった結果に相違ない。

 貧困とビジョンの欠如で、家族、社会は既に崩壊し始めているのだ。

 離婚は本当に非道徳的で、家族や社会を破壊するのだろうか。戦後半世紀以上、汚職など不正で国民を貧困へと追い込み、家族を壊してきた政府こそ、国の現実から目を背けているのではないだろうか。(10日・トゥデー、ルイス・テオドロ氏)

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