米国は中国と他の沿岸国との間にくさびを打ち込む道具として南シナ海問題を利用している
比で最も裕福なSMグループのテレシタ・シー会長は先週、「われわれは中国に近く、敵対できない。より平和的な解決はできないのか」と発言した。この発言は「小柄で褐色の米国人」というべき国軍幹部たちを驚かせた。
マルコス大統領は「欧米諸国が一緒に中国に立ち向かってくれる」という妄想を抱いているものの、南シナ海問題を「世界が直面する最も複雑な地政学的問題」と認めた。これはノイノイ・アキノ元大統領期に米国のプロパガンダによって始まった「自分のものは自分のもの」という立場の大きな転換だ。ただ、正確には「世界が直面する複雑な課題」ではない。米国が中国と他の沿岸国との間にくさびを打ち込む道具として紛争を利用しようとしているのが実態だ。米国の策略にはまっている国は比だけだ。
多くの比人が反中国偏執症状態に陥っている理由の一つは、「褐色米国人」らが誤情報を広めていることだ。 例えば、フィリピン大のジェイ・バトンバカル氏は「中国の投資契約、例えば石油・ガス共同事業を中止せよ」と主張した。 このような態度の結果、既に今年1~9月の中国による投資額は昨年同期の1480万ドルから1220万ドルに減少した。一方、比と違いけんか好きでないベトナムは29億ドルを受け取った。
中国からの輸入は比の総輸入額の2割を占める一方、比からの対中輸出額は中国の総輸入額の2%に過ぎない。中国が対比輸出を停止した場合、中国は容易に代わりを見つけられるが、比は鉄鋼、合成樹脂、石油製品、食品産業を中心に惨事が起きる。安易に中国と経済関係を断てと主張する人は、スーパーで買う商品の生産地を見るべきだ。(22日・マニラタイムズ、コラムニスト・リゴバート・ティグラオ)