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9月28日のまにら新聞から

報道の自由週間実施 戒厳令布告43年

[ 723字|2015.9.28|社会 (society)|新聞論調 ]

 ビサヤ地方セブ市で今週、新聞やテレビ、ラジオ、出版業界などが参加して「第21回報道の自由週間」が行われた。マルコス元大統領による戒厳令布告から9月21日で43年が経過、あらためてセブから、全国に向けて報道の自由の重要性を発信しようという自由週間が開催された。

 戒厳令下で、多くの活動家や無実の国民が拷問や監禁などの人権侵害を受けた。報道の自由はなく、テレビや新聞は情報省に管理されていた。

 比の国民性の一つに「過去を忘れやすい」という性質がある。現に今回、セブ以外の首都圏を含めた他の地域では「報道の自由週間」は実施されておらず、報道の自由の重要性を再確認しようという動きもあまり見られない。

 私の恩師であるフィリピン・スター紙の創立者でジャーナリストのマックス・ソリベン氏はマルコス独裁下で逮捕された。当時、マニラ・タイムズのコラムニストだった同氏は、戒厳令布告の2日後に逮捕され、釈放後も執筆と海外渡航を7年間禁じられた。

 戒厳令布告から43年たった現代の比にも、報道の自由の侵害は存在する。アキノ政権下で殺害された報道関係者は5年間で26人。その多くは、真実を伝えようとし、尊い命を奪われた。数え切れないほどの記者やジャーナリストに対し、誹謗(ひぼう)中傷や脅迫が日常的に行われている。

 「言論の自由」は1987年に制定された現行憲法で保証されている。国民は政府のプロパガンダに迷わされず、真実を報道しようと活動する報道機関を支持するべきだ。

 戒厳令布告から43年たった今、セブでの報道の自由週間が、言論の自由や報道の自由の重要性について、国民が再認識する機会になればと思う。(22日・スター、ボビット・アビラ氏)

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