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8月3日のまにら新聞から

大統領は何を残すか 施政方針演説

[ 701字|2015.8.3|社会 (society)|新聞論調 ]

 アキノ大統領は今日、任期最後となる施政方針演説を行う。5年前に始まった「真っすぐな道」への旅路は、実際にはでこぼこで曲がりくねっていた。旅の終着点は近い。大統領は真っ直ぐな道に方向転換するのだろうか。

 大統領は、自らの否を認めて国民に謝罪するだろうか。もしくは毎度のように、歴代政権に責任転嫁するのだろうか。大統領は自身の成果に満足するが、国民は大統領の政策に満足しているのか。果たして、任期終了後に人々がアキノ大統領の名前を聞いた時、何を思い出すのだろう。

 テロ犯追跡作戦で死亡した特殊部隊の警官44人の尊い命は忘れない。国がこぞって彼らの死を悼んでいる時に、私なら新しい自動車工場の開所式で祝杯を挙げるという選択はしなかっただろう。

 汚職撲滅をうたった大統領だが、周りにいた汚職まみれの友人たちを大統領は罰しただろうか。おそらく大統領にとっては、友情は国家より大切なのだろう。多数の教員失職と引き替えに実現した教育12年制。問題ばかりの公共交通機関。史上最悪の首都圏の渋滞も忘れてはならない。

 アキノ政権はバンサモロ基本法案を推し進めた政権ではあるが、最後にはいとも簡単にミンダナオ地方を見捨てた。これは国民への最大の裏切り行為である。

 これらが、私がアキノ政権と聞いて思い出す数々の出来事だ。もう時間は大統領の味方をしてはくれない。大統領自身が大きな一歩を踏み出し、「真っすぐな道」へと方向転換しなければならない。これからの働き掛けによっては名誉挽回が可能で、人々が将来、アキノ政権と聞いた時に思い出すことも変わってくるかもしれない。(7月27日・スター、サラ・グズマン氏)

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