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4月6日のまにら新聞から

鍵はインフラ整備 ミンダナオ和平と開発

[ 700字|2015.4.6|社会 (society)|新聞論調 ]

 ミンダナオ島は天然資源に恵まれた「約束の地」だが、一部州では長期化する武力紛争のため経済発展が妨げられてきた。これらの州は国内で最も貧しく、社会基盤の整備が立ち遅れ、民間セクターによる投資もほとんどみられない。

 紛争と貧困の関連性は国連開発計画(UNDP)発表の人間開発指数(HDI)を比べれば一目瞭然。平均寿命や識字率、就学率などで算出されるHDIはミンダナオ地方スルー州の0・216が国内最低。続くマギンダナオ(0・300)、タウィタウィ(0・310)、南アグサン(0・354)も同地方の州だ。スルー州の数値はアフリカ大陸の最貧困国並み。対照的にルソン地方各州はベンゲット0・849、バタネス0・789、リサール0・734とおしなべて高い。

 UNDPの調査に協力している比人学者によると、ミンダナオ地方の問題は紛争以外にもある。地域全体の発展を視野に入れた社会基盤整備の欠如、計画性を欠いた公共投資などだ。

 開発計画がないわけではない。比政府は首都圏と近隣州の開発計画を模した「ミンダナオのためのロードマップ」を基に短〜長期のインフラ整備計画を策定。にもかかわらずインフラ整備が立ち遅れる原因は予算不足で事業実施が遅延してきたためだろう。

 インフラ事業を積極展開しているサンミゲルのアン社長が先日、「1990年代にセメント工場を建設したバタンガス州は共産ゲリラによる襲撃が多発する地域だった。今や国内で最も開発の進んだ州になったが、和平交渉ではなく、政府が道路などインフラ整備を積極的に進めた結果だ」と話した。同じことがミンダナオ開発にも言える。(3月31日、インクワイアラー)

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