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11月3日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 850字|2014.11.3|社会 (society)|ハロハロ ]

 フィリピンで見るツバメはどれもが日本生まれだと知って、一段と親しみのある鳥になった。学校に上がる前、「オオツカ」と呼ぶ近所の米屋さんの軒にかけられた巣に親ツバメが戻ると、大きく口を開けてヒナが待っていたのを覚えている。親ツバメは4〜7月ごろ産卵、13〜17日でヒナが生まれ、20〜24日で巣立つそうだ。小さいころ初めて知った鳥はスズメとツバメだった。だが、そのツバメが海を渡ってフィリピンのほか台湾、ボルネオ島北部、マレー半島などで年を越すとは知らなかった。

 「落日のなかを燕の帰るかな」(蕪村)講談社発行の歳時暦「秋」によると、ツバメの秋の季語は「燕帰る」。どのツバメも毎年9、10月になると、日本を離れ、南の国に帰るからだ。日本にいる期間は南の地方ほど長くて200日以上。最も短い北海道は120日以下。日本列島の九州から関東にかけての太平洋沿岸地方では朝方の最低気温が約15〜20度以下、東北以北の地方では約10度以下になると飛び去るという。ツバメの「終見日前線」は札幌、青森9月20日、仙台、東京同10日、静岡同20日、近畿、四国、九州同30日(徳島、高知、宮崎、鹿児島10月10日)という。

 逆に戻ってきたツバメを初めて見る「初見日前線」で一番早いのは九州、四国南部で3月20日、最も遅いのは北海道南部で4月30日〜5月20日という。三笠書房刊「雑学読本」によると、日本に戻った親ツバメが前の巣を使う確率は50〜60%という。ツバメは高いところから見た景色を正確に記憶、巣作りの時、枯れ草や泥の固まりを何十回も同じ場所に運ぶので巣の場所を覚えている。海を渡る時もその記憶力がモノをいうらしい。ツバメは「体内時計」を持っていて、太陽や星座を見ては方位を判断し、前の巣にたどり着くそうだ。曇っていると方向が決められないので巣に戻る確率が低いという。今年は首都圏南郊でマキリン山を背に群れて飛ぶツバメが少ないように思えるのは台風や熱帯低気圧の頻発が理由なのかも知れない。(濱)

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