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10月21日のまにら新聞から

持続可能な仕組みを

[ 719字|2013.10.21|社会 (society)|新聞論調 ]

世界食糧デー

 16日の世界食糧デーは、ルソン地方中部を横断した台風サンティ(25号)による洪水、土砂崩れ被害で、フィリピンのコメ産地である中部ルソン地域各州が被災地宣言を出している中で迎えた。広範囲に及んだ農作物の被害は、2014年にはコメの輸入をやめるという政府の目標に赤信号を灯した。

 各国が保有するコメの緩衝在庫量を適切に保とうと努めている世界市場で、比がコメの値を上げても、もはや非難を浴びることはないだろう。

 しかし、過剰蓄積や買いだめ、価格操作などの相次ぐ報告が、引き続き比の主要一次産品の供給が抱える悩みの種であることは変わらない。特にコメの値段はここ数カ月、上がる一方だ。他のアジアの隣国のように比がコメ輸出国になるのは、このままでは夢で終わってしまう。コメの供給以外に問題なのは、数百万は下らない比人が栄養失調と栄養不良に苦しんでいる、という事実だ。国連食糧農業機関(FAO)によると、世界では計8億7千万人が慢性的な栄養不良状態にある。FAOは、その原因を、(発展途上国の)開発モデルが持続可能的でないことにある、と指摘する。

 持続可能性のない開発は、自然環境を悪化させ、食糧供給を維持するために欠かせない生態系や生物多様性を脅かす。人口過剰も同じく、飢餓を拡大させ、貧困層の栄養失調を増大させる要因となる。

 世界食糧デーに国連は、持続的な食糧システムの推進に取り組むよう各国の政策担当者らに求めた。FAOは、各国の統一がとれた行動と支援が、農業と食糧の安全なシステム、天然資源の管理、公共衛生や教育に必要、との見解を明らかにした。各国の食の安全性や資源を確保する効率的な管理体制が必要となろう。(16日・スター)

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