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9月2日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 587字|2013.9.2|社会 (society)|ハロハロ ]

 最新刊書が発売から1週間で100万部を超えてニュースになった超人気作家、村上春樹の日本における評価は、世代間でほぼ二分される。村上ファンは圧倒的に若い世代に多い。高齢世代は、「思想性がない」「アメリカの人気作家の物まね」など手厳しい。その村上に高い評価を惜しまないフィリピン人編集者に出会った。しかも彼は50歳台半ばである。アメリカ留学をしていた愛娘に勧められて英語版の小説を読んだのがきっかけで、村上作品にはまったらしい。初めて読んだのは『ノルウエイの森』のようだ。

 この本が日本で発売されたのは、1987年。赤と緑の派手なカバーの装丁の2巻本で、発売時期が年末に近く、若い恋人同士のクリスマス・プレゼント替わりにもてはやされた、と話題になった記憶がある。日本ではこれまでに500万部近く売れ、お隣りの韓国でも170万部を数えると聞く。

 韓国だけでなく、海外での村上本の売れ行きは、日本の作家としては異例なほど高い。既に40カ国以上で翻訳され、フランツ・カフカ賞をアジアで初めて受賞したのをはじめ、ノーベル文学賞の呼び声さえかかり始めている。2005年には、国際交流基金が欧米をはじめ中韓両国などから村上本の翻訳家を一堂に集め、シンポジウムを開いたこともある。この国で出会った初の村上ファンに触発されて、フィリピン人の評価をもっと聞いてみたい。(邦)

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