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7月22日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 751字|2013.7.22|社会 (society)|ハロハロ ]

 前回、この欄で「独立記念日」を祝うフィリピンの国旗が南ルソン高速道で記念日よりはるか以前から掲げられ、6月12日が過ぎてから何日もの間、風に揺れていたと記した。その際、「この国の行事には、はっきりとした始まりと終わりがない。クリスマスは12月25日と限らず、数カ月前に始まり、翌年1月第1週まで続く」と、著述家で牧師のエド・ラピスさんが随筆「フィリピン人のどこが特異なのか」の中で述べているごく一部を紹介した。

 この随筆で筆者は、「褐色の肌をしている」「外国語に精通している」「知り合った人たちを自分の親戚か家族のように扱う」など、この国の人たちの特性を列記している。が、日常生活で痛感するのは時の観念。「物事を時間で限定しない」の項に「約500年、西欧の時計が我々の生活に入り込んでいるが、公式な行事などを除くと、時の流れは時、分ではなく、感覚による。それが生まれた時から心にしみ込んでいる。我々が約束するのはumaga(午前)、tanghali(正午)、hapon(午後)、gabi(夕刻)に限定される」とある。

 この項目は「我々にとって最も正確な時間は恐らくkatanghaliang tapat(真昼)だが、この言葉には時間的に幅がある。フィリピン人の会合、儀式はこのような時間的取り決めで行われている。しかし、ここには明確な時間はない」という言葉で結ばれている。その時間と同様、フィリピン人には「距離」を数字で表す考え方がない。「我々は通常、距離をマイルとかキロメートルではなく、感じたままにmalayo(遠い)かmalapit(近い)で表す」とある。それが良いのかどうか。教訓めくが、この国に住む限り、この国の人々の考え方を理解するのが、何よりも大切だと思う。(濱)

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