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7月1日のまにら新聞から

取り巻きに恩返し

[ 732字|2013.7.1|社会 (society)|新聞論調 ]

違法占拠民移住計画

 首都圏の水路沿いの違法占拠が洪水の元凶だとし、アキノ政権は住民約2万世帯の立ち退きと郊外への移住方針を打ち出した。退去住民には一時金として、1世帯当たり1万8千ペソの家賃補助が支給される。

 違法占拠住民が真に洪水の原因で、政府が洪水発生時に最も危険にさらされる住民の福祉を真剣に考えているのであれば、住民は移住すべきだろう。しかし、気になるのは、アキノ大統領は最近の洪水を利用して、取り巻きが進める住宅事業を推進しようとしているとの情報である。取り巻きとは、オチョア官房長官の義兄ホセ・アクサル氏。

 フィリピン農民運動(KMP)によると、建設会社と不動産開発会社を経営するアクサル氏は、ルソン地方ブラカン州サンホセデルモンテ町カイバンバンにある農地85ヘクタールを買い占め、再定住地に転換する事業を国家住宅庁と契約した。アクサル氏が所有する首都圏ケソン市の邸宅は、前回大統領選の際「アキノ│ビナイ」の選挙活動本部として機能した、といわれる。

 「移住」の手始めとして、カイバンバンには先週、地元警官と共に武装した民間警備隊約50人が派遣され、農家に対する嫌がらせが始まった。自治体も一緒になり、5千ペソと引き替えに耕作を止め、農地を明け渡すよう農家に迫っているという。皮肉にも、85ヘクタールの農地は、政府の包括的農地改革事業の対象地なのだ。

 KMPは、アクサル氏の独占的な移住事業は「政府の農地改革が見せかけだという証拠だ」と訴える。大農園の利益を代表するアキノ政権が異常な移住事業の旗振り役を演じているのだ。

 貧しい農家が犠牲になり、移住事業は大統領選に協力した取り巻きが受注しようとしている。(27日・トリビューン、チャーリー・マナロ氏)

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