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3月25日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 622字|2013.3.25|社会 (society)|ハロハロ ]

 ♪春まだ浅き戦線の 古城に香る梅の花……♪ やっと春めいてきたこの時期、20年前に亡くなった親友が好んで歌った軍歌を思い出す。空襲警報が鳴ると防空壕へ逃れた世代である。敗戦後は価値観が一転、2学期は教科書に墨を塗る授業で始まった。いやな時代を生きてきたが、同世代で一泊旅行などすると、カラオケの締めがなぜか軍歌になる。年月による風化で懐旧の念もあろうが、いい歌も多いのだ。歌詞は田端義夫の「梅と兵隊」の一節である。

 10年以上前、フィリピンのカラオケ店で威勢のいい「歩兵の本領」など歌ったら、先住者からやめた方がよいと言われた。第二次大戦で日本が占領したアジア各国では反日感情が根強い。フィリピンは例外的だが、それでも軍歌は差し控えるのがベタ—、との忠告だった。以来この国で軍歌は封印した。

 ♪……我等はみんな 力の限り 勝利の日まで勝利の日まで♪ 何年か前、アモルソロ通り(マカティ市)のカラオケ店で「勝利の日まで」を歌う中年男性がいた。銃後の守りが内容の、サトウ・ハチロ—作詞の調子のいい歌で、映画の主題歌だ。NHKの連ドラ「ハチロ—」を見た後だったので余計に懐かしく感じた。歌っているのは何者?客席係に聞いたら、自動車メーカーの「えらい人」と。厳しい商戦の中、きっと自らを鼓舞しているのだろうと勝手に推察した。(紀)

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