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11月5日のまにら新聞から

非常事態に備えを

[ 726字|2012.11.5|社会 (society)|新聞論調 ]

米ハリケーン

 米東部を襲った大型ハリケーン「サンディ」に伴う米国とカナダの死者数は、10月31日午後までに計43人に上った。報道では、まだ行方不明者がおり、死者はさらに増えるだろう。

 「眠らない街」と呼ばれるニューヨーク市を、停電が襲い都市機能を失った。人々は、洪水で水浸しの通りと、浸水した地下鉄を目の当たりにした。

 救いは、怪物ハリケーンが米東海岸に上陸した際、勢力を弱めたことだった。米当局は上陸の数日前から、住民に十分な警告を出し、非常事態に備えた。それが、被害の減少に役立った。それでも、多数の人命が失われ、数10億ドルの損害が出た。

 これは、自然の猛威を、完璧には防げないことを示している。しかし、事前の備えがあれば、死者数と被害は最小限に抑えられる。

 災害への備えに必要なのは、まず正確な予報だ。今回ならば、ハリケーンの速度、進路、予想降水量、上陸日時がそうだ。ハリケーンや台風の予報は、地震や津波予報と比較して、より正確を期すことができる。

 フィリピンは、この種の予報の正確さを高めることを最優先課題にしなければならない。比は、大型台風や季節風の影響で、定期的に豪雨や嵐に見舞われる。予測をはるかに超える降水量や強風、洪水で、甚大な被害を受け続けている。

 近年の調査で、最も人口密度の高いマニラ首都圏が、大災害への備えが足りないことが明らかになった。準備不足は、とりわけ大地震の際に起きる大規模な火災や建物の倒壊への対応である。

 調査によって、停電や断水など緊急時の対応施設の不備も明らかになった。適切な避難所も不足している。非常事態への備えは、災害が起きたときではなく、まさに今から取りかかるべきだ。(1日・スター) 

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