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10月8日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 670字|2012.10.8|社会 (society)|ハロハロ ]

 首都圏南郊に広がるラグナ州の草原。毎年9月になると、いたるところで風に揺れるススキ(フィリピン語名・タラヒブ)が白銀の穂を波立たせていた。毎年のことながら、日本の秋を思い出させる風景に郷愁を覚える。だが、月が換わって10月になると、草原は再び緑一色。そんな中で、「熱帯の彩り」を楽しませてくれるのは、雨期の今も、乾期のころと変わりなく赤、ピンク、白、黄など色とりどりの鮮やかな花を咲かせるハイビスカスだと思う。

 アオイ(葵)科のハイビスカスは、世界で最もよく知られる熱帯植物の一つで、現在、世界に3千以上の交配種があり、マレーシア、フィジーの国花でハワイの州花になっている。中でも最も評判の高いのは中国南部が原産地の深紅の花。日本には江戸時代に持ち込まれ、九州、沖縄では庭木として観賞したという。和名は、中国名の「扶桑」に花をつけた「扶桑花」で呼び方は「ブッソウゲ」。それが「仏桑花」という俳句の夏の季語になっているので、ハイビスカスは日本とご縁が深い。

 ただ残念なのは、朝、咲いて、夕刻には花が散り落ちる「一日花」だという。幸い拙宅の庭には6本のハイビスカスが咲いているので、数日前、その真偽を確かめるため、直径20センチ以上の大輪の花を咲かせる高さ3メートルはあるピンクの木で試してみた。朝6時に開いていた花は44輪で、翌朝、地面に落ちていたのはぴったり44輪。次の日もほぼ同数だった。「相談もしないで、よく同じ数の花が咲いたり散ったりするものだ」と恐れ入った。「いつまでも咲く仏桑花いつも散り」(小熊一人)(濱)

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