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4月4日のまにら新聞から

中国のメッセージ

[ 651字|2011.4.4|社会 (society)|新聞論調 ]

比人3人死刑執行

 3人の死刑に対する多くの比国民の関心は、メロドラマ的でありそれは必然のものだった。3人は中国で初めて死刑を執行された比人で、彼らの物語は大半の比人の物語と、忍耐強くも不運な境遇に生まれた自画像を鏡で写して見るようなものだった。

 しかし、今回の死刑でもう一つわれわれに突きつけられたものがある。3年前のそれぞれ異なる日に異なる場所で逮捕され、翌年別々に有罪判決を言い渡された3人が、全員同じ日に死刑を執行されたことだ。これは、迅速な司法手続きによるものではなく意図的な決定だ。それは中国の無慈悲で官僚的な効率主義的感覚によるものだけでなく、中国政府の政治的意図だった。中国政府はメッセージを送ろうとしていた。

 比は中国への麻薬密輸において中心的な送り出し元と認識され、中国では麻薬の使用は危険な脅威とみなされ政府による冷酷な取締りの対象となってきた。そしてアムネスティ・インターナショナルによると世界で最も死刑執行数の多い中国は、執行を公表しないことが多い。

 その中国が、今回これほどまでに世間が関心を向けることを許したのは、急速に変化していく中国社会を攻撃する麻薬問題に対して、中国が極めて深刻に考えているからだ。そして、中国はそのために地理的影響力と域内における政治力拡大という野望を利用することをためらわない。

 中国の拘置所には現在、計224人の比人が違法薬物関連を含むさまざまな容疑、罪で収監されている。中国は影響力拡大に向けこれを利用し続けるだろう。(1日・インクワイアラー)

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