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3月7日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 621字|2011.3.7|社会 (society)|ハロハロ ]

 パラボラ・アンテナで受信する衛星放送は、揺れるバナナの葉に邪魔されて画面が時折乱れるが、リアルタイムにNHK、民放各局のテレビ番組が見られて、日本との距離を縮めてくれる。民放の番組で気づいたのだが、コマーシャルで目立つ一つは主婦向けの掃除用具。健康・長寿や美容がうたい文句の商品に次ぐ高い露出度かもしれない。主婦の家事労働の軽減を狙う商品の相次ぐ開発は、日本の一般家庭の現状を裏付けているように思える。

 フィリピンはどうか。中流以上の家庭で家事労働はメードの役目。彼女らの仕事を楽にさせてやろうといった発想は雇い主に希薄なのではないか。メードは毎朝、長さ70㌢ほどの太い箒(ほうき)を右手に持ち、ややかがめた腰に左手を当てる決まったポーズで家の外を掃いている。箒はココヤシの葉柄を細くそいで束ねたものだという。先日、スーパーマーケットの売り場をのぞいたが、並んでいるのは12年前、この国に越してきた当時と全く変わらない手箒だけだった。

 世界経済フォーラムが昨年度まとめた「男女格差報告」で、この国の女性は社会的進出度の高いことが評価されて、アジアで1位(世界で9位、日本は同94位)だった。たとえばマカティ市内にある市中銀行で、支店長席に座っている女性の多さに驚く。女性の社会進出を裏付ける例かもしれないが、ひょっとしたら「家事はメード、子どもはヤヤまかせ」の女性に限られているのではないかと、勝手に勘ぐっている。(濱)

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