「日刊まにら新聞」ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
37度-27度
両替レート
1万円=P3,650
$100=P5,740

2月28日のまにら新聞から

中国の交渉カードに

[ 721字|2011.2.28|社会 (society)|新聞論調 ]

比人死刑囚の執行延期

 今週予定されていた2人の女性を含むフィリピン人3人の死刑が延期されたことで国は喜びに包まれた。しかし、アキノ大統領が昨年12月のノーベル賞授賞式出席のボイコットに関する声明を出したことで、中国は比人死刑囚が外交カードに使えることに気付いた。つまり、比人死刑囚の運命を外交政策に結びつけたのは、比側が最初だった。これが比国内で熱狂的に報道されたために中国側が交渉カードとしての有用性に気付いたのだ。

 では比政府はどうすべきだったのか。まず、アキノ大統領は、ノーベル賞授賞式をボイコットした際に余計な事を言わずに沈黙を守るべきだった。その理由を説明せずに、ただ外務省役人らを動員して死刑執行の延期に向けて中国との折衝に当たらせるべきだったのだ。しかし、アキノ大統領とその取り巻きたちはそうしないばかりか、当時のロムロ外務長官に対する不満をさらに表明するなどしたため外務省側の動きも鈍らせた。

 中国の法律では、実際のところ、凶悪犯罪を除き死刑判決の執行が2年間猶予された者には減刑の余地を定めている。この期間にもし犯罪者が後悔の念を示し模範囚として振る舞えば、死刑から終身刑に、さらには懲役15〜20年まで減刑されるというのだ。死刑の執行を2年間猶予された死刑囚のうち実に99%は終身刑か有期刑に減刑されているのだ。

 比外務省はまず、死刑が確定した比人らに対してこのようなプロセスを通じて死刑が減刑されるシステムがあることを通知すべきだったのだ。その上で、比国内の弁護士や役人を組織してそのような減刑を判断する中国当局に一斉に働きかけるという方法を取るべきであった。(24日・インクワイアラー、リゴベルト・ティグラオ氏)

社会 (society)