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1月24日のまにら新聞から

賢明ではない選択

[ 696字|2011.1.24|社会 (society)|新聞論調 ]

中央選管委員長の選任

 今回の中央選管委員長の任命は、アキノ政権が批判してきたアロヨ政権による駆け込み任命と同じものだった。ブリリャンテス氏の即席の就任宣誓式を行うなど任命を急いだのは、国会が開催中には任命委員会による承認を得るまでは任命自体が有効ではないという原則に合わせたものだ。

 同氏は国内でも有数の選挙問題専門弁護士で、その意味で中央選管委員長にふさわしく、任命委員会の認定を得やすいかもしれない。しかし、最近の出来事を見ると、彼は任命委員会から承認を受けるのに苦労しそうだ。

 同氏はまず、任命を自分でリークした。宣誓就任する前に大統領府からの発表を待つというエチケットを持てなかった。そして急いで自分の元同僚だった判事の立会で、国会の会期末に就任宣誓式を行ったのだ。果たしてブリリャンテス氏は中央選管委員長として賢明な選択だったのだろうか?十分な資格を有していることは明らかだが、この仕事にとってベストな人物なのだろうか?大統領府は彼の選挙関連法に関する専門性を選任の理由に挙げている。しかし、現在の中央選管が必要としているのは選挙法のエキスパートだろうか?法律や弁護士が不足しているわけではなく、その実施に向けた政治的意志が不足しているのだ。

 中央選管は疑似司法機能を持つ。下院選以下の選挙裁判について判断する権限を持っているのだ。20年以上にわたり国内全土で2500件に上る選挙裁判を弁護士として請け負ってきた経歴を持つブリリャンテス氏は、委員長職との兼ね合いで忌避申し立てなどが出される可能性が高い。同氏がこの職務と折り合いをつけることはかなり難しいだろう。(20日・インクワイアラー)

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