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9月20日のまにら新聞から

経営側は勘違いするな

[ 755字|2010.9.20|社会 (society)|新聞論調 ]

比航空労組のスト通告

 私が初めて見たのは約15年前、米国系航空会社の機内だった。男性の客室乗務員は他の乗務員と同じような制服姿だったが、彼の髪は白髪が交じっており、顔はしわだらけだった。年齢は恐らく60代後半から70代前半だろう。

 彼は礼儀正しいだけでなく、愉快で乗客に冗談を飛ばし、誰にでも笑顔で対応していた。その光景はやがて、別の航空会社でも頻繁にみられるようになった。

 ここで質問がある。なぜ女性客室乗務員はイパネマの娘のように魅力的であらねばならないのか。客室乗務員は乗客を楽しませるためではなく、必要なサービスを提供するために乗務している。 

 比航空(PAL)の客室乗務員組合はこの点を経営陣に問いかけている。そして最近、ストライキ実施を通告した。組合側の主な要求は二つ。育児休暇中は給与が支払われず、労働期間として認められないといった「妊娠を事実上処罰する制度」の撤廃。もう一つは客室乗務員を目の保養としかみていない早期退職制度の見直し。2000年11月以降に雇用の客室乗務員の定年は性別を問わず40歳。しかし、地上職員の定年は60〜65歳。

 定年設定については反論の余地がある。実際、他の航空会社は高齢の客室乗務員を雇用している、また、乗客に飲み物をサービスする際に、年齢が原因で心臓発作を起こしたといった報告はない。

 問題は適正である。PALの場合はそれは若さや色気を意味する。組合側は、定年を地上職員らと同年に引き上げるよう求めている。定年は勤続年数に基づいて決められるべきで、年齢ではない。組合側によるスト通告は次のことを警告している。「PALはペガサスのような美しい存在でもなければ、客室乗務員は飲み屋の接客係でもない」。(15日・インクワイアラー、コンラド・デ・キロス氏)

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